(2015年3月17日更新)
馬場です。
前回ここに書いてからさらに四名の入塾希望がありました。選考に通過したのは一名のみで、現在の塾生数は二名です。募集要項に記載した通り、今年度の受付は八月いっぱいをもって締め切ります。やる気のある受験生は、遠慮なく応募してください。こちらも本気なので遠慮なく落としますが、その際も理由はきちんと伝えるので、申し込んで損したというような気持ちにはならないと思います。たぶんだけど、今までの不合格者もそうだったと思っています。
さて、今日の指導で、塾生と話していて、もう少し増えてもいいかもしれないね、という話になり(このままでもいいという意見もあったけど)、第一期最後の受け入れの時期なので、CLゼミでどんなことを話しているのかの一端を、ここでお伝えしたいと思います。勉強法とか、受験戦略とか、そういう話はもちろんしてますが、CLゼミの本質はそこではない。では、CLゼミの本質とはなにか。
とある昔の教育者がこんなことを言いました。The fundamental issue is a question of what must be worthy of the name education. 「根本的な問題は、教育の名に値するものはなにかってことさ」。CLゼミをやりながら、僕はいつもそのことを考えています。教育の名に値するものはなにか。それを考えながら、今日の指導では「快速船に乗るな」という話をしました。
世の中にはたくさんの快速船があります。有名な進学校とか、予備校とか。黙って座っているだけで快速船は目指している島まで運んでくれる。そういう便利なものは、時には利用したらいいと思います。でも、そればかり続けていると、誰かの船に乗せてもらわないと生きていけなくなってしまう。そして、誰かの船に乗り続けようとするかぎり、高い高い代償を、船主の言いなりになってでも支払わないといけなくなってしまいます。
それを避けるためには、自分で船を作り、漕いでいける力が必要です。そうした力は、自分の人生の舵を手放さず、航海を続けていくために欠かすことができません。そうした航海の果てでは、もし君が幸運であれば、その船に君を必要とする誰かを乗せることもできるかもしれません。もし君がそれをしたければ、ですけれど。
CLゼミの指導中、そんなことを僕が話した後で、一人の塾生が、「航海」の話でマンガの『ワンピース』を連想したのか、「ルフィーの好きなセリフがある」と言いました。「おれには強くなんかなくたって一緒にいて欲しい仲間がいるから・・・!!」。ルフィーの優しさを表現した、いいセリフだと僕も思います。強くなんかなくたっていいんだ。一緒にいてほしい仲間がいる。そういう仲間に囲まれて生きることは、最高の人生だと僕も心から同意します。でも、この後にはルフィーはこう続けるんです。「おれが誰よりも強くならなきゃそいつらをみんな失っちまう!!!」。
大学受験は、強くなって生き延びるための力を身に付けるための最初の航海として、悪くないルートだと僕は考えています。それを活かさずして、大学という目的地へ快速船で行くことは、せっかくの学びの機会を放り投げているに等しい。学ぶとは、手や足を動かして、自分の頭を精一杯に働かせながら、一つひとつの経験を自分の血肉と化していくことです。
それは、語るのはたやすいけれど、実行し切るのは難しいことの代表です。実際、快速船に乗ってる方がずっと楽でから。でも、旅のはじまりから楽してしまうのは危険でしょう。それに身体がなれちゃうから。やばくなった時に、対応する力を失ってしまうから。こうした考え方を頭ではなく身体で理解できて、本当に大変な道だが、それでもそれ以外に道はない。どんな大波が来てもその思いを捨てたくはない。そう思える人だけが、CLゼミの指導に耐えられると思います。いわば、荒れ狂う海にオンボロ船で漕ぎだすようなものです。たぶん、おかしいですよね?でも、それくらいだからこそ「クレイジー」と言う看板を背負っていけると思っています。
これまでCLゼミの選考を通過しなかった人は、現時点では、この「クレイジー」さには合わないと(僕の独断と偏見で)判断した人です。とはいえ、実際のところ、現在この船に乗ってくれた二人と、選考を通過しなかった人たちが、根本的に差があるかどうか、正直なところ分かりません。本当はすべての人にCLゼミという船に乗ってほしい。せっかくウェブサイトを読んで、こんなクレイジーなゼミに共感して、勇気を出して一歩踏み出し、頑張って選考課題も提出してくれたんだから。でも、すまないけれど、小さなボロ船には定員があります。定員オーバーになれば、船もろとも沈んでしまう。選考を通過しなかった理由を伝えて、今後に役立ててもらうために、一人ひとりメールで丁寧に返信しました。一方、今の二人の塾生を選ぶのだって、迷わなかったわけではありません。でも、彼らの提出課題には、それを手放さんとする必死さを感じた。その必死さがあれば、オンボロ船での航海にも耐えられるのではないかと信じて、僕は彼らにこの船に乗ってもらうことにしました。それが現在のCLゼミの姿です。
現在のCLゼミの指導を成り立たせているのは塾生です。僕はあれをやれこれをやれというようなことは一切言いません。やりたいことがあるのなら、僕の人生経験と思考の積み重ねから出てきたことを話すだけです。塾生は志望校を自分で決めるし、プランも自分で考えるし、勉強法も自分で必死で身につけるし、当然だけど、必死で机に向かうのも塾生自身です。限られた時間を捧げてCLゼミの指導を受けてくれるおかげで僕が指導をすることができるし、その積み重ねがCLゼミという場を成り立たせています。ほら、僕の謙遜じゃなくて、CLゼミの指導を成り立たせているのは、このボロ船を信じて乗り込んでくれた塾生でしょう? そういう指導を成り立たせるだけの覚悟を持って、この船に乗り込んでくれる人を、絶賛募集中です。
さて、ワンピースの話が出たので、最後にもうひとつ、寄り道みたいな話をつけくわえておきます。
物語の冒頭、ホームタウンを出たルフィーがはじめて出会う友人のことは覚えてますか? みんな見過ごしてるけど、物語が展開する上で、けっこう大事なエピソードなんです。それは、ちょっとした不運から女海賊のアルビダのもとで奴隷のように扱き使われていた、さえない少年コビーの話。
コビーはなんとか女海賊アルビダから逃れようと考え、二年かけてこっそり脱出用の船を作ってました。でも、勇気を出せないために、その船を使って脱出する計画を諦めようとしていた。ルフィーと出会ったコビーは、その船をルフィーに譲り渡そうとしました。ルフィーもまた、自身の航海のための船を必要としていたからです。コビーは心優しいように思えますね。でも、ルフィーはそうは受け取らなかった。それでいいのかい、と疑問を投げかけた。もちろん、ルフィーは見抜いたわけです。こいつは、臆病であるがゆえに自分の人生を投げ捨てかけている、と。そこでコビーは選択を迫られます。アルビダの元で奴隷のまま生き続ける道と、死を覚悟してアルビダに立ち向かう道。そこでコビーがどのような行動を取り、どう物語が展開していったのかはご承知の通りです。忘れた人は、読み返してください。
誤解を恐れずに言い切れば、こういうことです。奴隷のように生きるのか、勇気を出して一歩を踏み出し、自分の人生という航海の旅に出るのか。どちらを選ぶのかは、自分で決めたらいい。どっちにいったって、危険はあります。どっちにいったって、いずれは死にします。戦って死ぬか、戦わないで死ぬか。選ぶことができるのは、二つに一つ。
いよいよ8月。受験生の夏本番。岐路の時です。死んだように生きるくらいなら、戦い尽くして死んだほうがいい。人生の岐路においてでも、そんな狂ったような話に乗れる若者を、CLゼミは歓迎します。
2015年3月17日 追記 馬場祐平
上記の文章は2014年8月中に下書きをして、後で投稿するつもりが非公開設定になっていました。趣旨としては時既に遅しですが、一部を書きなおして、本日投稿しました。この頃のCLゼミの状況を伝えており、2015年度の塾生に向けての案内になると考えたためです。2015年の案内は、今月中に行います。
2015年度CLゼミの詳細は後ほどお伝えしますが、現時点では、
- CLゼミ2期生を募集します。5名〜最大10名を予定しています。
- 4月1週目から指導を行います。
- 春期(4〜6月)、夏期(7〜9月)、秋期(10月〜12月)の3期制です。
- 期毎(3ヶ月)の指導料を3万円に設定する予定です。月換算1万円です。
- 期毎に継続の意志確認をします。継続・復帰は自由です。
といった内容を考えています。現時点で入塾を検討している場合、上記条件を了解してもらった上で、申し込みをしてもらえれば、事前に選考を行うことは可能です。
今年は計15名ほどが志願してくれ、結果として、うち3名の塾生を受け入れて指導できました。良き塾生に恵まれ、いい1年目の航海ができたと感じています。その詳細も、3月末〜4月頭にかけてここで伝えるつもりです(現在、1期生はゼミの「卒論」を書いています)。2期目は、1期目の経験を踏まえて、より良く改善していきます。今年も、エントリーを待っています。
Crazy Learners
馬場 祐平